テスラ株は数ヶ月ぶりの最も鋭い上昇を見せましたが、テクニカル指標はまちまちのシグナルを示しています。
数週間にわたる低迷と投資家の慎重姿勢の後、テスラ(TSLA)は重要な長期テクニカルレベルである200日移動平均線を上回りました。この急上昇により、特にここ数ヶ月の不安定なパフォーマンスを受けて、反転への期待が再燃しました。ただし、市場のボラティリティが続き、ビジネスに関する懸念も残っているため、投資家は盲目的に飛びついているわけではありません。
テスラが長期トレンドラインを回復
テスラの株価は5月27日に362.89ドルに達し、7%の上昇を記録しました。これは週単位で最大の上昇率であり、株価は200日移動平均線(300.06ドル)を突破しました。これはトレーダーにとって長期的な市場の強さを評価する重要な指標です。
移動平均線は約10ヶ月間の平均終値を示し、短期的な価格変動を排除して長期的な市場動向を表示します。このラインを下から上に突破することは、買い圧力の再燃を示す強気のシグナルと見なされます。
TSLA 200日移動平均線

出典:TradingView。すべての指数は米ドル建てのトータルリターン。過去のパフォーマンスは将来の成果を保証するものではありません。データは2025年5月28日時点。
テスラは今年の3月と4月にはこのラインを下回って推移しており、海外販売の低迷やイーロン・マスク氏の複数事業への関与によって投資家心理が悪化していました。このブレイクアウトは転換点となる可能性があります。
モメンタム指標はまちまちのメッセージを示す
力強い上昇にもかかわらず、いくつかの重要な指標は、このラリーが短期的には先行しすぎている可能性を示唆しています。
RSI(相対力指数):テスラの日次RSIは現在68前後で、過熱領域に近づいています。まだ伝統的な閾値である70を超えていないものの、株価が急速に勢いを増していることを示しており、短期的な調整の可能性もあります。
TSLA 日足RSI

出典:TradingView。すべての指数は米ドル建てのトータルリターン。過去のパフォーマンスは将来の成果を保証しません。データは2025年5月28日時点。
出来高:取引量も通常より高く推移しています。価格の急騰が増加する出来高を伴う場合、市場参加者がその動きを信じている証拠であることが多いです。
抵抗線:5月27日のテスラの上昇は、週内に2度跳ね返された364ドル直下で止まりました。この水準を突破すれば、さらなる上値が期待されますが、再度反落すれば短期的な調整のきっかけとなる可能性もあります。
TSLAの抵抗線(2025年5月27日)

出典:TradingView。すべての指数は米ドル建てのトータルリターン。過去のパフォーマンスは将来の成果を保証するものではありません。データは2025年5月28日時点。
好材料が投資家心理を押し上げるが、リスクも残る
テスラのブレイクアウトのタイミングには理由があります。いくつかの報道が投資家の楽観ムードを後押ししました:
イーロン・マスク氏は、再びテスラに全精力を注いでいると述べました。その発言は市場に好意的に受け止められました。
とはいえ、懸念も残ります。AIと自動運転の拡大に期待するアナリストもいれば、欧州市場の売上減少やサイバートラックの生産遅延に不安を抱く声もあります。
今回の株価急騰は、空売りの買い戻しによるショートカバーも影響している可能性があります。
ファンダメンタルズの面では、利益率の圧迫、世界的なEV競争の激化など、依然として混在した状況です。
注目すべき水準
- サポート:現在、200日移動平均線は約297ドルで、主要なサポートラインとして機能しています。このラインを維持できれば、長期的な上昇トレンドが継続する可能性があります。
- レジスタンス:上値では、テスラは364〜365ドル付近を2度試し失敗しています。このエリアが目先のレジスタンスです。次のターゲットは370〜375ドルです。
まとめ
テスラの200日移動平均線突破は心強い兆候です。価格と出来高の動きも、これは単なる一時的な動きではないことを示唆しています。現時点では、マスク氏の姿勢転換と市場心理の改善により、強気の勢いが続いています。
しかし、警戒は必要です。過熱感、マクロの不確実性、混在するファンダメンタルズのため、今後数週間で上昇が止まる可能性もあります。これが真の転換点か、あるいは一時的な跳ね返りなのかは、市場と今後のニュース次第です。
不安定な市場環境においては、テスラのチャートとニュースの両方に注目するのが最善です。